20250825: 仮公開。プラグインごとのリンクや画像は後日…。
いわゆるバ美肉ゲーム実況生配信をやっているので、この声と配信の音声に関するメモの2025年版です。主にVSTプラグインの解説になります。過去記事にも解説もあるのでそちらもよろしくお願いします。
古典的なピッチ・フォルマントシフトを使ったバ美肉ボイチェンという特殊性から独特な部分もある一方、ゲーム実況配信とかボーカル処理という点でバ美肉ボイチェン以外にも通じる部分があると思います。
調整の方向性に関係することですが、自分の嗜好としてアマチュアのゲーム実況配信においては、なるべくゲームの音はそのまま送りつつ、ゲームの音の中でも声がちゃんと聞き取れるのが理想と思っています。声の質も良いに越したことはないですが、動画や雑談配信や歌配信に比べると重要度は下がると思います。そもそも極端なボイチェンをかけない方が聞き取りやすいのですが、そこはノリでかけてしまって6年目になりました…。
機材と使用ソフト
- マイクとオーディオインターフェイスをPCに接続し、PC内ではDAWから仮想オーディオケーブル経由でOBSに音声を送っています。扱いがむずかしそうなのでハード・ソフト共にミキサーの類は使っていません。
- DAWはCakewalk Sonar無料版を使用してます。Cakewalk by BandLabが終了したので公式の移行先として公開されたものです。無料だといくつかの機能が制限されていますが使い方や基本機能は共通なのでこのまま使っています。音声入力のルーティングやトラック間の遅延?を自動で調整してくれるので重宝しています。
- VSTラッパーとしてDDMF Superpluginを使用しています。64bitと32bitのVSTプラグインを混成させた状態でオーバーサンプリングできるのが魅力です。ついでに単独のVSTホストとしても使えるのも便利。
- 32bitのVSTプラグインを64bitに変換するためにDDMF Bridgewizeを使用しています。これは実質ボイチェンのRoVeeを使うために買ったソフトです。後述のSuperpluginがあれば必須ではないのですが、あらかじめ変換していた方が不安が少ないです。あと先に買っていました。
- 音声と映像のタイミングのズレはOBSの機能「同期オフセット」を使用して調整しています。マイナスの値を入力できるのが便利ですね。
- なお、私は配信中は自分の声を聞いてないのでモニター機能とかは特にないです。
マイクからの入力
- ノイズ処理: Supertone CLEARとRX Voice De-Noiseでノイズの軽減を行っています。CLEARはAIを使ったリアルタイム処理で環境音や残響を除去します。Voice De-Noiseはエアコンとかのバックグラウンドノイズ処理をしています。
どちらもノイズ除去ですが、特徴が違うので2種類使っています。CLEARはともかくVoice De-Noiseは軽量なので2つ使っていても問題無いという判断です。
音質に悪影響があると元も子もないですし、個人的にはレバーやボタンの操作音も「程々に」入っていた方が良いと思っているので、やりすぎないことにしています。 - ボイチェン前の音の調整: EQのOzone 11 EQ、ディエッサーのLindell 902 De-Esserを使っています。
EQは上手に使えれば音のコントロールができるのですが、自分は残ったバックグラウンドノイズっぽい音の対策とかちょっとやってるくらいです。
ディエッサーは歯擦音を軽減するプラグインです。ボーカル処理についての話になるとよく出てくるのですが、ピッチ・フォルマントシフトのボイチェンをやる場合は普通の音声以上に慎重かつ大胆に調整することになります。歯擦音自体ノイズ音っぽいのですが、特に後述のボイチェンRoVeeはこれが爆音になる傾向があります。 - ボイチェン: ピッチ・フォルマントシフトのボイスチェンジャーRoVeeを使っています。このジャンルで有名なプラグインの中でも特に古く、64bitのVSTプラグインが普通の現在に32bit版しか無いという時点で扱いにハードルがあります。専用の変換ソフトを使う・対応できるDAWやVSTホストを使うなどで対応します。
さらに特に歯擦音に対して大きいノイズ音が出るのですが、これはいわゆるエイリアスノイズのようでこれに対応するために先述の通りディエッサーを強めにかけるのに加えてオーバーサンプリングがとても有効なので使っています。 - 分岐について: Lindell 902 De-EsserとRoVeeのルートだけ2つありますが、一方が基本的な設定になっているのに対し、もう一方は「ディエッサーの差分の音を音量下げた音」を「RoVeeのピッチ・フォルマントシフトの設定を半分くらいにしたもの」にかけています。歯擦音をより自然にするための調整です。
- 音量の調整と音質の調整: チャンネルストリップVSTプラグインのVCS-1を使い音圧と音質、音量をコントロールしています。いわゆるプリアンプ(エキサイター)・EQ・コンプレッサー・エキスパンダーが一体になったものです。
だいぶ説明しずらいですが、プリアンプ(エキサイター)をある程度かけるとキモボイス感が軽減されます。やりすぎると圧迫感のある声になります。
一定以下の音をカットするノイズゲートはコントロールが難しいので使用せず、代わりに一定以下の音を小さくするエキスパンダーを使っています。 - リバーブ: epicPLATE mkIIを使用して、ちょっとだけリバーブをかけています。そもそも普通の部屋で配信しているので元の声に残響が入っているのにリバーブでさらに残響を描ける必要があるかというと難しいのですが、ちょっとだけかけると音の馴染みよくなるような感じはあります。強めにかけるとカラオケにも対応できます。
- エンハンサー: AI-impactorはあらかじめ測定した音声から、いい感じにアタック感を強調しています。
PC内の音声
- ノイズ処理(必要に応じて): RX De-humとRX Voice De-Noiseを準備しています。外部のゲーム機を繋いだ場合にノイズが発生した場合に使用します。どちらも遅延の無い設定でやっています。
- タイミングの調整(必要に応じて): Channel Toolsを準備しています。マイクの音声とPC内の音声が、プラグインの遅延によってずれが生じた場合、PC内の音声側に遅延を発生挿せるために使います。ただし、Cakewalkの機能で自動的に補正されているようなので現在は使っていません。
- リミッター: リミッターのTDR Limiter 6 GEを使用し、大きすぎる音を抑えています。ゲームの音声はなるべくいじらいない方針ですが、万一初起動のゲームやサウンドロゴだけ大きすぎるゲーム、音が重なった時の処理があやしいゲームなどで大きい音が出た場合はリミッターが必要だと思います。緊急ブレーキのようなものなので働かないのが理想です。
- ダイナミックEQ: TarackSpacerはマイクの音に反応してその分の周波数を抑えています。要するに声とぶつかりそうなところだけちょっと削っている感じです。ゲーム音をなるべくいじらいない方針に反しているのですが、音量を確保しつつ声の通りを良くするためちょっとだけ抑える感じで使っています。
合成後(マスタートラック)の音声
- リミッター: リミッターPeak Limitを使用し、合成後の音声でも大きすぎる音は抑えるようにリミッターをかけています。
- アナライザー(必要に応じて): 設定を確認するときとかに、必要に応じて周波数アナライザーのTDR Prismを使用しています。正直あまり使っていないですね。